街の音楽家
芸術の都と称される、パリ。その地は、まったくその名に恥じないものでした。特に観光地ではより多くの芸術家を見かけることができます。似顔絵を描いてくれる画家の人や、自分の書いた風景画を販売する人などがずらり。日本ではなかなか見られない光景です。道行く人も割と関心があるようで、立ち止まって鑑賞したりお話したり。フランスに有名な美術館が多いのも、人々の暮らしに「芸術」というものがしっかり根付いているからなのでしょう。
メトロ(地下鉄)の入り口なんかでは、音楽家によく遭遇しました。日本だとギターやキーボードの演奏に合わせて歌っている若者を見かけますが、フランスは違いました。バイオリンやコントラバスが集まって、さながら小さな演奏会のような一幕を提供してくれます。フランスの方が優れているというわけではないですが、弦楽器がこんなにも身近な存在なのかと驚いてしまいました。
一番びっくりしたのが、電車に乗り込んでくる音楽隊。がらんとしたSNCF(フランスの国鉄)に揺られていると、なにやら軽快な音楽が…。
アコーディオンにクラリネット、マラカスみたいなものを持ったおじさん3人組が、電車の中だというのに陽気に行進し、歌いながら次の車両へと移っていくんです。そして座っている乗客に、半ば強引にチップを要求。もちろん渡すのは小銭ですし、上手な演奏で楽しませてもらったのでそれほど悪い気はしないんですが、なかなかのカルチャーショックでした。